ヒューマンデザインをこよなく愛する諸星和子です。
このブログにはあまりヒューマンデザイン以外のことを書かないようにしているのですが、今回はアントン・ウィッキーさんとの思い出を聞いていただけますでしょうか?
ウィッキーさんと言えば、かつて「ズームイン朝」で、ワンポイント英会話のコーナーを長く担当していた方ですね。私も当然見ていました。
そんなある日、私が高校生だったころ、私の高校にウィッキーさんが講演にいらっしゃいました。全校生徒の前で、祖国スリランカで海洋学を専門としていらっしゃったこと、来日の経緯や奥様とのなれそめなど、楽しい話をしてくださいました。
そして講演後、当時の生徒会長が、代表としてウィッキーさんにお礼の言葉を述べました。
ま、それが私なんですけどね。
素直にお礼を言えばいいのに、数日前から英語の先生と話し合って、英語でお礼を言う準備をしていました。それをちゃんと紙に書いて用意していたのに、練習でしっかり暗記したつもりになって、ちょっとカッコつけたかったのか、メモを持たずにウィッキーさんの前に立ちました。
”Thank you for your interesting story....”あたりまでは良かったのですが、案の定、その先が出てきませんでした。
”Thank you very much...”と繰り返し、記憶をたどったのですが、用意した言葉を思い出すことができず、「え~っと・・・」状態になってしまいました。
全校生徒から漏れる失笑。
私も思わず笑ってごまかしモードに
・・・・なりそうだったのですが、ウィッキーさんを見ると、
クスリとも笑わず、真剣な目で私をまっすぐ見て、何度もゆっくりうなづいてくれました。それはまるで「大丈夫だよ、聞いているよ、待っているよ、大丈夫だよ」と言ってくれているかのように。
誰も原稿など知らないのですから、適当にごまかして終わらせてしまおうかと思ったのですが、そのウィッキーさんの目に励まされて自分を取り戻し、なんとか用意した言葉を最後まで言うことが出来ました。
するとほっとするのもつかの間、ウィッキーさんは、すかさず私が持っていたマイクをつかみ、大きな声で「全校生徒何百人の前では日本語で話すのも大変なのに、英語でやってのけた、この生徒会長に拍手を!」と言ってくれました。体育館に響く大きな拍手に、私はもう、ぺこぺことお辞儀するしかできませんでしたね。
これは私にとって、とても大きな出来事でした。
その後もしばしば外国語との関りを持つことがあり、ここ数年はIHDS(国際ヒューマンデザインスクール)で英語のレクチャーを受けています。
2015年1月に受講を始めるときに一番心配だったのは、「自分がちゃんと英語を喋れるか?」でした。先生が言っていることがその時に分からなくても録音を聞き直すことはできるのですが、自分がどれだけしゃべれるかはその場になってみなければ分かりませんでした。多くの場合、何を聞かれるかが事前に分からないからです・・・。
そしてクラスの中で、何を言おうか悩み、言おうとする言葉につまづき、単語を忘れ、話しながら何を言っているか分からなくなるようなことが、時にありました。なんと言っても、英語力が充分ではないうえに、夜中の3時くらいに受講してましたから。
そんな時いつも、いつもです、本当にいつも、私の心の中には、「大丈夫だよ、待っているよ、大丈夫だよ、聞いているよ」と真剣に私を見つめて励ましてくれるウィッキーさんの目があったのです。今でもです。
実際のヒューマンデザインのレクチャーの中で、先生やクラスメイトがどんな顔して私の英語を聞き、どれだけ理解しているのかは分かりませんが、言葉につまづくとき、何を言っていいか分からなくなったとき、私の心の中に浮かぶのは、あの時のウィッキーさんの力強い目なのです。
あの目で見つめられたのは、長くても3~5秒くらいでしょう。長い人生の中のほんの一瞬といっても良いくらいです。でも、その後の私の人生をずっと励まし続けてくれました。それがあったからこそ、私はここまで学んでこれたのだと改めて思い、心から感謝しています。
今でも色褪せないウィッキーさんとの思い出でした。